「Gemini Enterprise は、席代のほかに従量の課金もかかるのですか」。導入を考えている会社から、よく出る質問です。答えは、普通に会話する分にはかかりません。ただし、見積もりに入れておくべき行が別に2つあります。
料金が分かりにくく感じられる理由は、席代は製品のページ、席ごとの上限と超過は「割り当てと超過料金」、エージェントの実費は別の料金のページ、と資料が分かれていることです。稟議で本当に困るのは、値段が高いことより、通した金額と来た請求が違うことです。この記事では、その仕組みを公式の資料に沿って整理します。数字は2026年10月時点で、変わることがあります。
会話は席代に含まれている
席ごとに、1日の利用の枠が決まっています。
- Standard: アシスタントへの質問1日160件・画像の生成1日5枚・動画の生成1日2件・Deep Research 1日3回
- Plus: 質問1日200件・画像1日10枚・動画1日3件・Deep Research 1日10回
この枠は1人ずつではなく、同じプロジェクト・同じ場所・同じエディションのユーザー全員で共有する形です。100席なら、100人で大きな枠を分け合います。人が手で使っているうちは問題になりにくく、跳ねるのはエージェントを自動で回し始めてからです。1つのエージェントが全社の枠を使い切ることも、仕組みの上ではあり得ます。
枠を超えても、既定では課金されない
何もしなければ、枠を超えたところで止まります。続けたい場合は、管理者が超過を有効にすると、超えた分が実費になります。超過を有効にするには、請求書払いの Cloud の請求先アカウントと、無料の試用ではない有効な契約が必要です。会話については、知らないうちに課金される形にはなっていません。
別に立つ費用1: 社内のデータを預けた量
社内のデータを検索に取り込むと、その保管に費用がかかります。Standard は1席あたり30GiB まで席代に含まれ、超えた分は1GiB あたり月5ドルで、超過のスイッチとは関係なく自動でかかります。
- 対象は、検索の索引に取り込まれた分です。元のファイルの容量そのものではありません。ドライブのファイルから取り出す文字には上限があり、動画や写真は文字が取れないので入りません。
- Google ドライブは、写しを作らずに元を見にいく方法(データ フェデレーション)も選べます。保管の費用はかかりませんが、検索の精度は下がると案内されています。
- 枠を超えやすいのは、ウェブサイトを丸ごと預けたとき・スキャンした紙の PDF が大量にあるとき・複数の部門のデータを1つのプロジェクトに集めたときです。
別に立つ費用2: 自分で作ったエージェントの実行
自分で作ったエージェントを動かすと、計算・メモリ・保存などの実費がかかります。人が手で使う範囲なら小さく、跳ねるのは自動で回し始めてからです。使う前に、Cloud Billing の予算で月の上限と通知を設定しておきます。
いちばん高いのは「使われない席」
100人分を契約して、実際に使うのが20人なら、80席分の席代を毎月捨てていることになります。保管の費用で同じ額を無駄にするより、はるかに起きやすい無駄です。これはどのサービスでも同じです。席の数を決める前に、2週間だけ「誰が、1日に何回使うか」を測ります。
見積もりで確かめること
- 席代以外の行があるか。社内のデータを預けるなら「データの保管」、エージェントを作るなら「エージェントの実費」の行を入れる。
- Cloud Billing の予算で、月の上限の通知を入れておく。
- 社内で、誰が1日に何回 AI を使っているかを聞いてから、席の数を決める。
席代そのものの金額は、エディションと契約の形で変わります。公式の製品ページと、提案を受ける会社に確かめてください。Google Workspace の Gemini との違いは、Gemini の個人版と Google Workspace 版の違い(2026年10月のモデルの変更・利用の上限・データの扱い・Gem から Skills へ)も参考になります。
