社員が Gemini に「今年の賞与の考え方を教えて」と聞く。社内の全員が開ける設定になっていた賞与の支給額の一覧が答えの材料に使われ、ほかの人の金額が答えに出てしまう。Gemini が勝手にファイルを開いたわけではありません。そのファイルを、その社員が開ける設定になっていたことが原因です。
この記事では、Gemini が読めるファイルの範囲の仕組みと、全社で使う前に直しておく共有、AI が実際に読んだファイルを記録で確かめる方法を説明します。
大事なファイルの見える範囲と、AI が読んだ記録の確認は、1か月に約2時間40分かかる計算です。Workspace Check の AI の閲覧ログチェックを使えば、そのうち約2時間30分を減らせます(前提と計算は「どれだけ時間が減るか(試算)」にまとめています)。
Gemini が読めるのは、使う人が開けるファイルだけ
Google Workspace の Gemini は、使っている人がアクセスできるファイルやメールだけを、答えの材料に使います。開けないファイルは読みません。逆に言えば、権限を付けすぎたファイルは、Gemini を通して見つけやすくなります。
- 開ける設定でも、場所を知らなければ見つからなかった
- 古い共有の設定は、困らないので放っておかれた
- 聞いた内容に関係があれば、答えの材料に使われる
- 権限の付けすぎが、答えの中で表に出る
全社で使う前に直す共有
大事な名前のファイルが、次の範囲で開ける設定になっていないかを確かめます。
| 見える範囲 | 開ける人 |
|---|---|
| リンクを知っている全員 | リンクが渡れば、社外の人も |
| 社内の全員 | 会社のアカウントを持つ人なら誰でも |
| 大人数のグループ | 全社員のグループなどのメンバー全員 |
| 担当者だけ | 共有した担当者だけ(このままでよい) |
給与・賞与・人事評価・顧客の一覧・パスワードのような名前のファイルは、担当者だけに絞ります。全社で Gemini を使う前の確認の全体は、Google Workspace のセキュリティ点検15問にまとめています。
AI が読んだ記録を確かめる
管理コンソールのドライブのログイベントには、Gemini がユーザーの依頼に答えるためにファイルの中身を使ったとき、そのファイルごとに「アイテムのコンテンツへのアクセス」の記録が残ります。ただし、ログの画面で大事なファイルだけを探し出し、読んだ社員の数を数えるのは手間がかかります。

Workspace Check の AI の閲覧ログチェック
Workspace Check は、共有ドライブと社員全員のマイドライブの共有をまとめて点検するサービスです。Gemini を使うときの備えとして、次のことも確かめられます(監査ログを読む権限を足した会社)。
- 名前に給与・給料・昇給などの大事な言葉が入ったファイルを、見える範囲(リンクを知っている全員・社内の全員・大人数のグループ・担当者だけ)ごとに数えます。言葉は会社ごとに足せ、業種のひな形もあります。
- AI が読んだ記録: 監査ログから、Gemini などの AI が実際に中身を読んだ大事なファイルを、読んだ社員の数とアプリの名前つきで出します(直近30日)。
- 見つかったファイルは、共有の一覧と同じように持ち主と場所が分かり、そこから共有を絞れます。


点検で読むのはファイルの名前と共有の設定、監査ログの記録だけで、ファイルの中身は読みません。
どれだけ時間が減るか(試算)
試算の前提: 社員30人の会社で、給与・人事・顧客などの大事なファイル50件の見える範囲を月に1回確かめ、ログで AI が読んだ大事なファイルを探す場合。見える範囲の確認を1件2分、ログでの探し出しを1時間とし、Workspace Check では1件10秒、探し出しを5分としています。
| 作業(回数) | いま | Workspace Check | 1か月で減る時間 |
|---|---|---|---|
| 大事なファイルの見える範囲を確かめる(50件 × 月1回) | 2分 | 10秒 | 約1時間30分 |
| AI が読んだ大事なファイルをログで探す(月1回) | 1時間 | 5分 | 約55分 |
合計で、1か月に約2時間30分、1年で約29時間の作業が減ります。時給1,500円で換算すると、年に約4.4万円分の時間です。
Gemini を全社で使う前に権限の付けすぎを直しておけば、答えの中で見せたくない情報が出る事故を防げます。
